「犬を飼いたい!」のでなく、
「この子をしあわせにしたい。」
そう思って下さる方だけが里親さんになれます。
多くの方がペットの飼育に際して、癒し効果やお子さんたちへの情緒教育などを期待されるようです。
けれども、それは間違いです。
動物は生きています。
民法にどんな記載があろうとも、動物たちは物ではなく、「命」なのです。
癒し効果や子供たちの豊かな情緒教育への効果というのは、あくまで副産物です。その根底に家族としてその犬猫と真摯に向き合い、無条件の愛を注ぎ、厳しくとも愛情をベースにした躾を家族全員が行う。犬や猫の生態を理解した上で、毎日の適切なお世話をしっかりと行う。
こういった姿をまず、大人が子供たちに見せて、その上で子供たちに考えさせる機会を作っていく。
この過程なくして、子供達の成長の糧となる事だけを求めることは不可能です。
また、単に可愛がることで人は癒し効果や満足を得られるでしょう。
けれども、その時、もう一方の当事者である動物の側は本当にしあわせなのでしょうか?
本気で動物福祉にも取り組む事。
それが当会の里親さんの条件となります。
1番の目的が
単に可愛がりたい方、癒し効果を期待したり、お子さんの成長の糧にしたい方には、当会からはお譲り出来ません。
現代の犬猫の飼育者に求められるのは、人間のように法的な権利も与えられず、自らの生死すら他者に委ねざるを得ない弱者であるこの子達を、何としても幸せにしたい、生涯守り抜きたい、という決意です。
自分が犬猫を欲しいから、飼ってみたいから、などのエゴではなくこの子達への献身と慈悲こそが動機であって欲しい。
犬を飼う,猫を飼う、という意識ではなく深い慈悲の心を持って、人間の子供を養子に取る時と同じ責任感と覚悟を持って、この小さな命と向き合って下さる方のご応募をお待ちしております。
そのくらい、近年、多頭飼育崩壊事件が多発しているのです。
保護ボランティアが起こす多頭飼育崩壊事件は、無計画な引き出しと収容過多が原因ですが、一般の方が起こす多頭飼育崩壊事件は不妊去勢さえしていれば防げるケースが殆どです。
そして
こんな事になると、最初は起こした人も考えていなかったはず。
周りからも、その飼い主が未来に多頭飼育崩壊を起こすとは予想できません。
事前に
この人はOK
この人は避妊去勢しなくちゃダメ、
などとはわからない。
だから、雄雌を一緒に飼う場合には、具合が悪いなどの理由がなければ、どうしても不妊去勢をして欲しいのです。
最近、また日本で不妊去勢が一般化している事に反対という考えを広めたい方々がおられるようです。
日本で不妊去勢が普及して来たここまでの流れを知っている立場からすると、かなり残念に感じます。
そして今、私が不妊去勢を反対している方々、全員に問いたいのは、
「あなた方の言葉を表面的に受け取りして、不妊去勢しない選択をした方が、いつかこの事態に陥った時に責任をどう取って下さるのですか?」
ということ。
多頭飼育崩壊現場の子達は近親交配の繰り返しのため、先天性疾患、遺伝子疾患を持つ子も多く、短命だったりサイズが小さかったり、劣悪な飼育環境から引き出されても、不幸な末路となってしまうことも多々あります。
不妊去勢を不自然とか、ホルモンの成長期の個体への影響から問題がある、という理由でしない方が良い、しなくても良い、という意見を広めた結果、こんな子達が生まれて来ることは動物福祉に適った結末でしょうか?
沢山の無責任な飼育者を取り締まる法律は未だ施行できず、そのために過去30年ほどの間に、どれだけの望まれない命が産み落とされ、そして処分されていったのか。
何も罪がないのに、行き場所がないためにこぼれ落ちていく命を増やさない、確実なその方法が飼い主の責任で行う不妊去勢なのです。
不妊去勢の医学的な問題は勿論理解した上で、それでもまず、この過剰供給を断つ事こそが、動物問題の元栓を閉める事に繋がるとの思いから、日本では多くの保護活動家が、不妊去勢を訴えて来たという歴史があります。
何年もの間、何度も各地の多頭飼育崩壊現場でレスキューして来た保護ボランティアはみんな既に疲弊しています。
これ以上、こんな事件を起こさないためには、簡単に「不妊去勢に反対」という言葉を使う前に、まず適正飼育や終生飼育といった命への責任を、もっともっと一般に広める必要があります。
この言葉を広めるなら、
その後でなければ、更に悲しい現場が増えてしまう。
私はそれだけを危惧しています。
下記は新しく、関東近郊の多頭飼育崩壊現場からレスキューしてきた子達。これから、医療を掛け、人と暮らすルールを学び、新しい家族を探していくことになります。
